23/12/2024
『惑星 Letters from Perch. 2』が完成しました。
2020年の5月からコロナ禍と共に始めた
メールマガジン。
2022年から1月から2023年7月の最終回までを
収めています。
今回新作を一編、後書きに換えて書きました。
このお話に至るための長い長い物語だったんだ、
と感じています。
あの頃の気持ちをぎゅっと詰まった1冊。
オンラインストアでは、現在1、1と2のセットを送料無料でお届け中。28日正午までのご注文は年内の発送となります。
京都ホホホ座 さんでも、1、2共にお取り扱いいただいておりますのでお近くの方はぜひお出かけくださいませ。
年末年始のお休みにお手に取っていただけたら幸いです。
「空の椅子」
Perch.のお手紙 (2024.11.22)
みなさん、こんばんは。
金曜日の夜、いかがお過ごしでしょうか?
エンプティチェア、空っぽの椅子。
大学院で心理学を学んでいた頃、グリーフケア/喪のケアという、喪失の体験をした方への支援を学ぶ講習の中で体験をしたセラピーの名前。
自分の前に空の椅子を置いて、もう会うことのできない失ってしまった人と想像の中で向かい合う。言えなかったこと、言いたかったこと、伝えられなかったこと、伝えたかったことをその空の椅子に向かって話しかける、というもの。
ケータリングの仕事が失われ、広げた両掌からこぼれ落ちていく速度が、液体のそれに感じた。
全ての活動が止まり静かになっていく世界で自分だけがもがいているようにも、狂乱の世界の中で自分だけが取り残されてストップしているようにも感じていました。
2020年の5月からコロナ禍と共にはじまった「Perch.のお手紙」を『惑星』にまとめながら、ふと「エンプティチェア」のことを思い出した。私の失ったものに、何かを失った私に言いたいことがあるような気がして。
あの頃の私をその空っぽの椅子にそっと座らせてみる。
果たして私が彼女に伝えたいことは「あなたはまだほとんど何をも失っていない」ということだった。
今、目の前で正に失われつつあるように思える時間の中で、あなたはかけがえの無いたくさんのものを得ていると、伝えたい。
そして、それは今まさにあなたががんばっていてくれるからだと。
力の入った孤独そうな肩を撫でてあげたい。
椅子に座った私は、そんなことは気休めだと、信じないという顔でこちらを見つめる。
失っていると感じる時間の中にも、何かを得つつある可能性があることを、私はこれからも忘れないでいようと思う。
メールマガジンをご購読くださったみなさま。
『惑星』を手にとってくださったみなさま。
おつきあいいただきありがとうございました。
あの頃を一緒に過ごしてくれた登場人物のみんなに
ありがとう。
2冊の本にまとめてくれたchachamaru publishing
ことようちゃんに、心からの感謝を。
ひとつ終わりにしたら、
また何かがはじまりそうな気がする。
今年は急な冬ですね。
みなさま、どうぞよい週末を。