07/11/2024
【お弁当リニューアルに向けて】
今、アホウドリはお弁当メニューのリニューアルに向けて準備をしています。
日替わりの定食屋、お弁当屋さんとしてスタートしたアホウドリ。「女性が働き続けられる飲食業にしよう」と決めてからは、お弁当を日替わりではなくメニューを固定化。今では、多くの料理好きの女性たちと一緒に働いています。(このあたりの思いは、よろしければリンク先からぐるなびの記事をご覧ください)
ところでコロナで一山抜けたと思ったのに。原油高騰、原価高騰、油や小麦、調味料だけではなくお米まで。アホウドリは9月末が決算なのですが、アホウドリも値上げをしなくてはならない状況になっています。数日前は愛するネットフリックスからもサラッと料金改定の連絡が届きました。(いつも良質なコンテンツをありがとう)。多くの飲食店が事業を続けていくために踏み切っています。のに、私は、頭ではわかっていて数字にも出ているのになかなか踏み切っておりませんでした。
そこで私が、この会社で何をしていきたいのかを言葉にすることにしました。最近私が思っていることは、家庭料理を作り続けたい。ということ。これが当たり前のようで実は奥が深いのです。
先日ome farmさんに伺った時に、農場長の松尾さんが、イギリスの土は野菜を作るポテンシャルが高いのだけれど
、産業革命の中で面積あたりの収入が酪農の方が高いということで多くの農地が牧場になったらしいよ。と話してくれました。
また私も暮らしの中で、産業革命がイギリスのメシマズを推進したと聞きました。大量のものを生産するときに、必要なのは分業化です。日常の作業が仕事として分業化されていく中で、家庭単位で料理をすることは非効率的です。元々合理的な国民性も相まって食文化が薄れていったといいます。
いま、日本の家庭料理もそこに向かっている気がします。共働きが当たり前になり、母たちが忙しくなりました。家で小世帯で食事を作るのは効率が悪い。外を歩けば安くて美味しい食事がたくさんあります。
そうすると家庭で料理することのハードルが高くなります。そうして料理から離れると、いざ自宅のキッチンに立つときにどうしていいのかわかりません。麺つゆ味の主菜と副菜、片栗粉でもちもち食感、ミールキットの味が懐かしい味に変わっていくのだと思います。レストランは来店理由を作るためにもっと特別な料理を作ります。家庭では真似できないような設備や仕入れで。簡単か、やすうまか、ハイクオリティか。時代がそう流れていくなら、仕方ないよね。と思う反面、私たちが育った味はどこへ行くのかしら。
と思ったときに、家庭料理に価値をつけて売り続けるしかない。仕事として残すしかないと思いました。家庭単位で家族のためにつくられている料理は、レストランでも家庭でも食べられない特別な味として仕事として残るはず。
「さしすせそ」を基本に、食べ慣れた味を淡々と作り続ける家庭料理。自分の家族に食べさせられるクオリティの材料で。お客様のご要望に、息子からのリクエストを叶える気持ちで応え続けたい。毎日のお弁当から、特別な日のお料理まで。
そういう視点で、じっとメニューを見つめて作り直してみようと思っています。準備が出来次第、新しいメニューのご案内をさせていただきます。すべきことは値上げなのですが、単純値上げにするよりも、アホウドリの大切にしていることが伝わるようなお弁当を新しく作り直す気持ちで。