21/06/2024
最近、中島孝志先生の勉強会で中国古典の話があり、袁了凡の「陰騭録」を学びました。今から40年前に当時の上司から勧められたのが安岡正篤先生の著作。それから本を読むという習慣が身につきました。本書もその当時に読んだものなのでかなり古いです。
本書は、中国明代の道徳的教えを集めた重要な著作です。
「陰騭録」の核心は、善行を積むことで運命を変え、福徳を得られるという考えです。袁了凡は自身の経験を基に、人間の運命は固定されたものではなく、努力と善行によって変えることができると主張しています。
本書は、まず著者の個人的な体験から始まります。若い頃の袁了凡は、運命は変えられないものだと信じていました。しかし、雲谷禅師との出会いを通じて、善行を積むことで運命を変えられることを学びます。
「陰騭録」では、善行を積むための具体的な方法が詳細に記されています。例えば、
他人を助ける
動物を慈しむ
誠実に振る舞う
謙虚であること
人々を教育し啓発すること
著者は、これらの善行には大小があり、その効果も異なると説明します。小さな善行を日々積み重ねることの重要性を強調し、同時に大きな善行の価値も認めています。
また、悪行を避けることの重要性も説かれています。悪行は福徳を減らし、不幸をもたらすとされています。特に以下のような行為を戒めています:
他人を傷つけること
嘘をつくこと
貪欲であること
怠惰であること
不道徳な行為
「陰騭録」は、善行と悪行の結果が必ずしも即座に現れるわけではないと説明します。時には数年、あるいは次の世代になって効果が現れることもあるとしています。これは因果応報の考えに基づいています。
本書の特徴的な点は、善行を数値化して記録することを推奨していることです。袁了凡は、毎日の善行と悪行を記録し、定期的に振り返ることを勧めています。これにより、自己の行動を客観的に評価し、改善することができるとしています。
「陰騭録」は単なる道徳的教えの書ではなく、実践的なガイドブックとしての性格も持っています。読者に対して、具体的な行動計画を立て、実行することを促しています。
また、本書は個人の道徳的成長だけでなく、社会全体の調和と発展にも言及しています。一人一人が善行を積むことで、社会全体が良くなるという考えが示されています。
「陰騭録」の教えは、中国だけでなく日本を含む東アジア全域に広まり、長く人々の道徳観や生き方に影響を与えてきました。その教えの普遍性と実践的な性格が、時代を超えて多くの人々に受け入れられてきた理由だと考えられます。
改めて今回読み返してみて、私自身、まだまだ人間が出来ていない、練れていないことを痛感しました。
積善を実行していきたいですね。
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