29/06/2024
構想3「雲の上の花」
楽しかった年末と年始、冬のあいだのフィッティングを経て
一番楽しみにしていただいていた刺繍仕上げは、今は完治した怪我で出先から遠く運ばれてしまったなんと病院の個室で。
高層階の窓から見たことのなかった風景を眺めて、桜の咲くのを待って過ごしながら
なんだか天国に一時期行って来たような時間の中で「udunrose」というドレスを完成しました。
刺繍のテーマは「雲の上の花」。
「昔この地に多くいた着物職人さんがいつもしてた、着物の帯の刺繍のよう」と、患者仲間の高齢の女性が嬉しそうに見に来られて。栖鳳の水彩画の帯を思いました。
今思うと、もちろんなべては思い込みですが、仕上げるために行って来た場所のような気がしてきます。
ある日の昼下がり、ベッドでうとうとして目覚めると、階下に二本の桜花の木が満開でした。
そういえば.. ずっと以前、千春さんという花嫁さまが
この地の高校に通われてた頃の、お話を下さったことが思い出されました。
まだかたちの無いドレスのデザインのために、瞳をきらきらさせて頬を紅潮させながら懸命に、イメージをお話してくれました。
「自転車で、農道のような道を走って、毎日通ったんです。
ある春の日の田畑に、二本の花が満開に咲いた木が並ぶ光景が、脳裏に焼きついて今も忘れられないです。木蓮と桜の花の木でした。」
木蓮のような真白な生地と桜の花びらのような生地で、白と色ドレスの二着をおつくりしました。
「チェリーブラッサム」
http://siesta-dress.com/2017/08/31/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%A0/
白ドレスは「ひとえ咲き」と名づけた
あの白と薄ピンクの二着に、何だか通じていた「雲の上の花」刺繍だったと思いました。
(構想2「コスモスと序の舞」
https://www.facebook.com/ohirunehinagiku/posts/810946887702492 )